医療法人 西さっぽろ病院

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腱板断裂

腱板断裂とは?

人体にはいくつもの関節がありますが、中でも肩関節は可動範囲が広く、スポーツだけでなく、日常生活のさまざまな場面で使用するためか、関節を痛めてしまうことも珍しくありません。腱板断裂もその一つといえます。
腱板とは、肩甲骨と腕の骨をつないでいる腱をいい、この腱が切れたのが腱板断裂です。年をとるにつれ腱板は柔軟性を失い、徐々に擦り切れていきます。こうして腱板が弱くなった状態で、転倒などの外傷が加わると切れてしまうのです。ただ、まったく外傷の覚えがなく腱が切れることもあります。一度断裂してしまった腱板は自然治癒することなく、時間とともに肩の機能は低下します。
腱板断裂は若い人にはほとんどみられない病気で、50~60代以降の方に多くみられます。とくに、仕事やスポーツなどで肩関節を酷使してきた人は要注意です。

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主な症状

  • 運動時や夜間に肩が痛む
  • 腕が上がらない
  • 腕が上がっても力が入らない
  • 腕を上げたり下ろしたりする際にひっかかりを感じたり痛みが生じる

腕が上げにくいなどの症状は四十肩とも似ています。
痛みは常に感じているものではなく、安静にすると一時的に消えることもあるので、腱板が断裂していることを自覚できず、四十肩だから仕方がない、いま痛んでもまた治ると軽く考え、治療しないでいる人も多くいます。

診断方法

腱板断裂はレントゲン撮影では写りませんが、MRIを使うと患部がはっきりと確認できるので、確定診断にMRIは欠かせません。

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治療方法

保存療法

  • 消炎鎮痛剤などの「薬物療法」
  • 痛みがなくなるまで肩を温める「温熱療法」
  • リハビリによる「肩の協調運動訓練」等

症状が軽い患者様なら、一時的に痛みがとれて、その後の生活に大きな不自由がなければ、それでもいいという場合もあります。
ただ保存療法では、断裂した腱板をつなぎ合わせるわけではないので、根本的な治療にはなりません。

手術療法

根本的な治療方法として、断裂した腱板をつなぎ合わせる手術治療(腱板修復術)があります。
腱板断裂の多くは、骨から腱が引きちぎれるように断裂するので、切れた腱を骨に縫い付ける必要があります。 当院では「関節鏡下手術」による腱板修復術を行っています。
これは、当院の岡村医師が日本でいち早く1992年に北海道に導入した内視鏡を使用した手術で、創が小さく術後の回復も早いなどメリットが多く、高齢者でも負担が少ない手術方法です。

ドクターズ・アイ

「根本治療の大切さ」

日常生活に支障が出るほど肩が動かせない場合でも、手術をためらい、保存治療を続けている患者さんも少なくありません。
腱板断裂は死に至る病気ではありませんし、痛みが生じれば保存的治療法で一時的に痛みをなくせます。
手術と聞くとそれだけで治療を避けてしまい、生活上の不便は我慢してしまうのもわからないわけではありません。
しかし肩の関節は、物を持ち上げるだけでなく、棚から物を取り出したり、腕を使う動作のほとんどに関連しています。
肩関節の可動域が大きく制限されるようなら、日常生活に大きな支障が出ます。
また、放置すると断裂は少しずつ大きくなっていく可能性があります。
例え高齢であっても、しっかりと根本治療を行い、QOL(生活の質)の維持・向上に役立ちたいというのが、医師の考えであり、願いでもあります。(当院での手術最高齢者は94歳です)